和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
暮らしを支える税金
和歌山県立日高高等学校 1年
 原 幸日

税金によって私たちの社会生活は成り立っている。そう言っても過言ではないと思う。普段当たり前のように道路を通って出かけることができるのも、けがをしたら病院ですぐに治療してもらえるのも、水道をひねればきれいな水が出てくるのも、税金があるからこそ受けられる恩恵だ。そして私がこれまで学校に通えてきたのもまた、税金のおかげなのである。それを実感したのが今年の春休みのことだ。

高校入学を目前にして、私はこれから始まる新しい生活への期待に胸を膨らませていた。新しい教室、新しい先生、新しい同級生、そして新しい教科書。入学式にはそのすべてに出会えると思うと、本当にわくわくした。

ところが春休みも半分以上が過ぎたころ、母が私にこう声をかけた。
「今から教科書を買いに行くよ。」
私は驚いた。教科書は、小学校や中学校の時と同じように、入学式に無料で配ってもらえるものだと思っていた。義務教育の間、教科書が無料だったのは、税金によって教科書代が支払われていたからだったのだ。代金を支払って教科書を受け取ったとき、ずっしりとその重みが感じられた。教科書が無料なのは決して当然のことでないと痛感した。

教科書だけではない。授業料も、学校の施設代も、私の学校生活は税金によって支えられてきた。八十五万円、九十八万円、そして九十一万円。これは小学校、中学校、高校で、それぞれ一年間で一人の生徒に使われる税金の金額だそうだ。もし税金がなかったら、両親だけで私たち子どもの教育のためにこれだの大金を支払ってこられただろうか。学校に通って教育を受けることがなければ、今の私は存在できなかったと思う。教科書が無料でなくなったことをきっかけに、改めて税金の大切さに気づいた。だからこれからは、学校に通い、勉強ができているということに感謝高校生活ではさらに多くのことを学んでいきたいと思う。

そして私は今、春休みまでの私のように、税金の恩恵を当たり前のことだと考えている人が少なくないと感じている。人間は恩恵よりも負担の方にどうしても目が向いてしまいがちだ。
「税金なんていらない。税金は生活を圧迫するばかりだ。」
そう言っている人をテレビで見かけたこともある。しかし、いま私たちが社会の中で生きていけるのは、税金によって支えられた生活をあるからだ。社会の中で生きる人々が、少しずつお金を出して協力し、支えあう仕組み、それが税金だ。税金について考えることは、自分という一人の人間が、普段どれだけ社会に支えられているかを考えることにつながっていると思う。社会の一員として、私たちの「当たり前」を支える税金について、これからはさらに深く考えていきたい。

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