和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
ふるさとへの贈り物
和歌山県立田辺中学校 3年 吉井 真生

私はこれまで「税」とは、取られるものだと思っていた。そんな私の考えは、この作文を書くために税について調べたことで覆った。

税は、国に納める「国税」と自分が生活している都道府県に治める「地方税」に分かれ、またさらに細かく分かれているという。国税だけで二十五種、地方税では二十六種の税があった。コンピュータの画面にずらーと並んでいる漢字ばかりの税の名前は、私が聞いたことのないものがほとんどだった。その中で、私が唯一といってもいいほど知っていたものが「ふるさと納税」だった。これを初めてテレビで耳にしたとき、「ふるさとの税ってなんのことなん。」と一時は興味を持っていたが、時間が過ぎるとともに忘れていってしまったのだ。このようなこともあり、「ふるさと納税」について書くことにした。

さっそく、インターネットで「ふるさと納税」というキーワードで検索してみると、約二百万件ものウェブサイトがヒットした。この件数から、今では「ふるさと納税」という言葉を目にしたことがない人はいないだろうと感じた。私は「ふるさと納税」が発表されるまで、どういった経緯でこの案が実行されたのか興味を持った。当時、福井県知事を務めていた西川一誠氏によって、二〇〇六年十月にふるさと納税の原案となった「故郷寄付金控除」の導入が提案された。この案は、地方間格差や過疎などで税収の減少に頭を抱えていた自治体に、寄付という形でお金を回すことが目的であった。翌年の七月、五人の知事が合同で「ふるさと納税制度スキーム」を発表した。その内容は、「ゆかりのある市町村等」に寄付をした場合に、前年度の住民税の一割相当額を限度に所得税と住民税から税額控除するということであった。簡単に言うと、寄付した人の払うべき税金から寄付した分を差し引きますといったところだろう。

一方で、根本的な地方活性化や地方格差を和らげるための対策にはなっていないだろうという反対意見もあったが、いざ開始されると、テレビ番組などで大いに注目された。そして、今も年々寄付金額は増え続け、平成二十六年度には、約百四十二億円が各地に寄付されている。

どこに住んでいても自分が支援したい地域に寄付金という形で、自分の気持ちを届けることができる。これが、「ふるさと納税」のもっとも良い点だと思う。私はこの作文を通して、「税」とは取られるものではなく、自分の意志で寄付できるものだと気づくことができた。

私もいつか自分のふるさとへ「ふるさと納税」という恩返しの贈り物を届けたい。

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