和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
自然災害と税金
智辯学園和歌山中学校 3年 坂地 夏菜

私の祖父母は新宮市に住んでいる。その中でも山奥で、坂の上に家があり、少し歩くと森の中というようなのどかなところだ。私は特に川が好きで、すばしっこいメダカやエビ、アユなどの泳ぐ綺麗な川だった。

ちょうど今から五年ほど前、紀伊半島を豪雨が襲った。新宮市も被害を受け、川は氾濫し、多くの家が浸水した。祖父母の家は高台にあるので浸水は免れたが、少し低いところにある納屋は被害を受けた。

一週間ほどしてから私は父と弟と、祖父母の家を訪れた。そのときちょうど、炊き出しや生活物資の受け取りがあり、私達もついていった。地域に一つだけあった商店の営業が休止しており、遠くには行けない高齢の方も多いため、本当にありがたかった。

後になってから、それらの資金が税金でまかなわれているのだということを知った。今までは、人のために使われているのだと分かってはいてもどこか遠いものに感じていた税金を、あのとき使われていたと知って、初めて身近に感じたし、税金があってよかったと思った。

その後、お正月に祖父母の家を訪れたときにはもう、目に見えて復興していた。茶色に染まり、水かさを増し、荒々しく流れていた川は豪雨の前のように澄んでいたし、商店は営業を再開した。今ではもう元通りで、豪雨の跡は感じられない。

あれから五年が経つのを前にして、行方不明者の一斉捜索が始まるそうだ。和歌山・三重・奈良の三県で合わせて八十八人の死者と行方不明者を出したこの平成二十三年台風第十二号、紀伊半島豪雨とも呼ばれているが、まだ十人の方が行方不明となっている。この捜索も税金が使われる。私たちが生きていく上で、嫌だろうと自然災害は必ず起こるし、その度に復興を繰り返す。復興するためにはもちろんお金は必要で、それはどこから出るのかというと、国民の納めている税金だ。つまり、自然災害と税金は結びついているのだ。自然災害はいつどこで起きてもおかしくないものだから、私たちだって被害に遭う可能性は十分にあるからこそ、関係ないなんていえない。税金だってそうだ。払いたくなくても何に使われているのかよく分からなくても、決して関係のないものではないし、自分のところへ戻ってこないわけでもない。だからこそ私は、税金の必要性をきちんと理解し、積極的に税金を納められるような大人になりたいと思う。

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