和歌山県租税教育推進連絡協議会

ホーム税に関する作文税に関する中学生の作文一覧 > 中学生の作文表彰作品
和歌山県知事賞
人と地方を繋げる税金
和歌山県立田辺中学校 3年 井本 初音

昨年、父がふるさと納税をしてみたいと言った。そこで、家族と話し合った結果、父の勤務先がある自治体と母の実家がある自治体にふるさと納税をすることに決めた。父は、私と妹に返礼品を選ばせてくれた。返礼品は各自治体の特産品や地域限定の物が多く、中には私の知らなかった特産品もあった。魅力的な物が多く、悩みながら、妹と選んだ。

返礼品の購入や郵送には、二〇一五年度の寄付額一六五三億円のうち、およそ半分の七九三億円が使われたそうだ。返礼品関連にあてられた金額が寄付金のおよそ半分を占めていることに対し、私は寄付金が自治体の為に有効に使われているのか疑問に思うようになった。そもそも寄付とは見返りを求めないものであるからだ。

北海道の上士幌町は、人口は五〇〇〇人に満たず、六五歳以上の高齢化率も三五パーセント近い過疎地である。返礼品を和牛やジェラート等にしたところ、二〇一五年度のふるさと納税による寄付額は一五億円を超えた。寄付金の半分は返礼品の購入に使われるが、結果的に知名度がなかなか上がらなかった地元産品の知名度の向上にも繋がった。寄付金の使い道は子育て支援や少子化対策の基本に充てられるそうだ。今後は寄付を通じて観光地の整備やPR、過疎化対策を行うことを計画しているようである。

父がふるさと納税をした自治体からは、史跡を守る等、町の活性化の為に寄付金を活用するという内容のお礼状と共に、自治体の名所を紹介するパンフレットが送られてきた。観光情報を掲載したパンフレットを送ることで、地域の特色や良さを知って貰い、訪れて貰いたいという意図があるのだろう。

熊本地震の発生後、熊本県内の自治体には多くの寄付金が集まり、ふるさと納税は被災地への支援の手段としても注目されている。熊本県は県の特産品を返礼品にしていたが、地震発生後は確保が難しいことをホームページで公表した。それでも寄付は増え続け、寄付した人の七割が返礼品を辞退したそうだ。

ふるさと納税について調べたことで、各自治体の寄付金の使い道は様々であり、自治体の職員の方々が地域活性化の為になるよう様々な努力をしていることが分かった。ふるさと納税をする側は、返礼品で自治体を選び、寄付するより、自治体を応援する気持ちで寄付をし、寄付を受ける側の自治体は、応援に応えるかたちで寄付金を有効活用していくことで、市町村の活性化や、地域の魅力の再発見に繋がる。このふるさと納税は、人の思いや応援が、人々の生活や環境を豊かにしてくれる。一風変わった素晴らしい納税のかたちだと言える。

私はふるさと納税のことを、もっと沢山の人に知って貰いたい。そして自分自身も、自治体を応援する気持ちで、ふるさと納税を活用していきたい。

税に関する中学生の作文一覧へ戻る