和歌山県租税教育推進連絡協議会

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全国納税貯蓄組合連合会会長賞
色んな気持ちがつまった税金
和歌山県立向陽中学校 3年
 堤 瑞

「前へーならえ!」
この言葉を聞くと、あなたはおそらく両腕を前に出すだろう。私は、思わず腰に手をあててしまう。そう、私は保育園に入園して以来十四年間、ずっと列の先頭に並んできた。

極端に背の低い私に、周りの人はこう声をかけてくれる。
「高校生になったらグンと伸びるよ。」
「男の子はこれからよ。」
だが、私の場合、こうはならないのだ。成長ホルモンの分泌が上手くできず、身長が伸びにくい疾患をかかえているからだ。

この疾患の治療として、成長ホルモンを補って身長を伸ばす薬を、毎日注射して四年半が過ぎた。この薬は、一日分たった一・二グラムで、一万円を超える高額なものだ。小児科では、何本かの薬を処方してくれるので、明細書には驚くべき額が記載されている。だが私には、「魔法の青い紙」がある。私がその紙を窓口で出すと、これまた驚くべきほど、支払い額は下がる。

青い紙の正体は、「小児慢性特定疾病医療受給者証」だ。これによって、国の税金による医療費の助成をしてもらえる。私が知っていたことは、これくらいだった。だがこの作文を書くことをきっかけに、この制度や税についてもっと知りたいと思った。まず、助成の条件についてだ。和歌山市在住の十八歳未満の児童であり、また疾病ごとに定められている認定基準に該当していなければならない、というものだ。また、平成二十七年からは、負担してもらっている額の半分を、国民の消費税から、もう半分を地方税から出してもらうことに決まった。それから、税といえば私が思いつくのは、消費くらいだが、実際は違う。車や土地、その市に住むことにさえ税金を払わなければならない。そのうちの消費税を使わせてもらい、私は治療を受けられている。

そのことへの感謝を、常に心の中に持っていなければならない。私はこれまで、何度か注射を打ち忘れたことがあった。その時母はいつも言っていた。 「誰のおかげで治療を続けられてんのか、よく考えろ。感謝の気持ちが足らんのと違うか。」 と。その通りだと思う。

消費税引き上げなどで、税の世界が大きく動いている今、この作文をきっかけに税の様々なことに興味を持てたことは、すごく良い経験だったと思う。これを活かして、これからもっと税について考え、いざ大人になり、税を払う立場になった時、子供の頃の感謝を忘れず、責任を持って税金について考え、払える大人に私はなりたい

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